CHAPTER 06 · TOPIC 04
二元配置ANOVAとMANOVA
二因子の主効果・交互作用と、複数目的変数の平均ベクトルを扱うMANOVAを学びます。
このページの内容
二元配置ANOVAと多変量分散分析(MANOVA)は異なる方向の拡張です。二元配置ANOVAは一つの量的目的変数に対する二つのカテゴリー因子を扱い、MANOVAは関連する複数の量的目的変数を同時に扱います。
二元配置ANOVA:二因子を同時に調べる#
治療法を因子A、性別を因子B、血圧を目的変数とすれば、Aの主効果、Bの主効果、A×B交互作用を同じモデル内で検定できます。
| 効果 | 問う内容 |
| 因子Aの主効果 | Bの水準で平均したとき、Aの水準間で平均が異なるか |
| 因子Bの主効果 | Aの水準で平均したとき、Bの水準間で平均が異なるか |
| A×B交互作用 | Aの効果がBの水準によって変わるか |
二元配置ANOVAモデル#
| 記号 | 意味 |
| μ | 全条件の総平均 |
| αᵢ | 因子Aの第i水準の効果 |
| βⱼ | 因子Bの第j水準の効果 |
| (αβ)ᵢⱼ | 水準組合せの交互作用 |
| εᵢⱼₖ | モデルで説明されない誤差 |
A主効果
B主効果
交互作用
交互作用を先に見る理由#
交互作用が有意なら、一方の因子効果は他方の水準に依存します。たとえば薬剤が一方の性別でだけ有効なら、性別を平均した薬剤主効果だけではデータ構造を隠します。通常は交互作用を先に確認し、その後に主効果を解釈します。
有意な交互作用は、各性別内で治療法を比べるような単純主効果へ追跡します。これらの比較にも多重性調整が必要です。
二元配置ANOVAの条件#
- 観測値が独立。反復測定なら反復測定法または混合モデルを使う
- 各因子組合せ内の誤差が概ね正規
- 各組合せで誤差分散が等しい
- 交互作用を推定できる十分な観測が各セルにある
MANOVA:複数の目的変数を同時に調べる#
収縮期血圧、拡張期血圧、心拍数のように、同じ対象から関連する複数の量的結果を測る場合、MANOVAは各群の単一平均ではなく母平均ベクトルを比較します。
第j群の平均ベクトル
帰無仮説
目的変数ごとに別々のANOVAを行うと多重検定の第一種過誤が増え、結果の組合せとしての差も直接検定できません。MANOVAは目的変数間の共分散を利用します。
MANOVAの検定の作り方#
単変量ANOVAの群間・群内平方和を、平方和・交差積行列H(効果)とE(誤差)へ拡張し、その固有値から多変量統計量を作ります。
| 統計量 | 判読 |
| Pillai's trace | 仮定違反に比較的頑健。大きいほど群差が大きい |
| Wilks' lambda | 小さいほど平均ベクトルの群差が大きい |
| Hotelling–Lawley trace | 複数の判別方向の群間情報を累積 |
| Roy's largest root | 最大差を持つ一つの判別方向に注目 |
MANOVAの条件と限界#
- 観測値が独立
- 各群の目的変数ベクトルが概ね多変量正規
- 各群の共分散行列が等しい
- 目的変数は関連するが、ほぼ重複するほど共線的ではない
- 複数目的変数の共分散を推定できる十分な標本数がある
目的変数がほぼ無関係なら統合の利点が乏しく、相関が極端に高ければ同じ概念を重複測定している可能性があります。目的変数はデータを見た後ではなく研究課題から事前に選びます。
有意なMANOVAの追跡#
- どの因子または交互作用の多変量検定が有意か確認
- 研究課題に沿って各目的変数のANOVAや計画対比を行い多重性を調整
- 群平均ベクトル、信頼区間、効果量から方向と実質的意味を評価
- 必要なら判別関数や正準変量を調べ、原尺度の目的変数へ戻して解釈
三つの方法を区別する#
| 方法 | カテゴリー因子 | 量的目的変数 | 主な問い |
| 一元配置ANOVA | 1 | 1 | 一因子の群平均が異なるか |
| 二元配置ANOVA | 2 | 1 | 二つの主効果と交互作用があるか |
| MANOVA | 1以上 | 2以上 | 群の平均ベクトルが異なるか |