CHAPTER 01 · TOPIC 01
統計学入門
記述統計と推測統計の役割、標本抽出による不確実性、仮説検定へつながる基本的な考え方を学びます。
統計学(statistics)は、データから情報を取り出すための方法体系です。データを集める目的は、単に数値を眺めることではありません。データがどこに集中しているか、ばらつきはどの程度か、2群の間に差がありそうか、ある変数から別の変数を予測できるか、といった問いに答えることにあります。
記述統計:データを整理して示す#
記述統計(descriptive statistics)の目的は、得られたデータを整理・要約・可視化し、その特徴を把握しやすくすることです。
- 表やグラフでデータを示す
- 平均値や中央値でデータの中心を表す
- 範囲、分散、標準偏差でばらつきを表す
- 分布の形や外れ値の可能性を確認する
データの種類によって、適切な統計量や表示方法は異なります。そのため、統計手法を選ぶ前に、データの種類と特徴を理解する必要があります。
推測統計:標本から母集団を理解する#
実際の研究では、母集団全体を観察できないことが一般的です。母集団が非常に大きい場合、全数測定には多くの時間と費用がかかり、測定自体が対象を損なう場合もあります。そこで母集団の一部を標本として抽出し、標本がもつ情報から母集団の状態を推測します。このような方法を推測統計(inferential statistics)と呼びます。
- 母平均はどの程度と考えられるか?
- 2つの母集団に差があると考えられるか?
- 母集団において2変数は関連しているか?
- 標本で観察された結果は、標本抽出による偶然の変動だけでも起こり得るか?
なぜ標本抽出が重要なのか?#
異なる標本から、まったく同じ結果が得られるとは限りません。同じ母集団から抽出しても、標本平均、割合、その他の統計量は無作為抽出によって変動します。したがって、標本から母集団を推測するときは、標本から計算した値だけでなく、その不確実性も評価しなければなりません。
統計的推測は不確実性をどう扱うか?#
統計的推測では、単一の数値だけを見るのではなく、標本が与える情報と推測に含まれる不確実性をさまざまな方法で評価します。代表的な方法は次のとおりです。
- 点推定:標本統計量から母数を推定する
- 区間推定:母数が含まれると考えられる範囲を示す
- 仮説検定:データが特定の統計的仮説と整合するかを評価する
- 予測:既知のデータから未観測の結果を予測する
- 統計モデリング:変数間の関係を記述する
なぜ仮説検定を学ぶのか?#
このノートで後に扱う多くの手法は、仮説検定という共通の枠組みを使います。仮説検定は独立した一つの話題ではなく、t検定、カイ二乗検定、分散分析、回帰分析などを理解するための重要な基礎です。
- 帰無仮説と対立仮説を設定する
- データから検定統計量を計算する
- 帰無仮説が正しいと仮定したとき、現在の結果がどの程度まれかを評価する
- p値、信頼区間、効果量、研究背景を合わせて解釈する