生物統計学 学習ノート概念・導出から実践的な解釈まで

CHAPTER 08 · TOPIC 04

付録:統計手法選択表

結果変数の型、独立・対応関係、帰無仮説から適切な統計手法を選ぶ道筋を整理します。

このページの内容
  1. 統計手法の統合表
  2. 第1問:結果変数の型
  3. 第2問:標本間の関係
  4. 第3問:H₀は何を比較するか
  5. 表を使った後の確認

統計手法は、結果変数の型、標本間の関係、比較したい母集団命題の順に選びます。下表は入口であり、最終決定には研究デザインと各手法の仮定を確認します。

統計手法の統合表#

結果一標本独立二群対応二時点独立三群以上
二値Binomialχ² / FisherMcNemarχ²
概ね正規の連続One-sample tIndependent t / Welch tPaired tANOVA / Welch ANOVA
歪み・外れ値の連続Sign / Signed-rankRank-sumSign / Signed-rankKruskal–Wallis
順序Sign / Signed-rankRank-sumSign / Signed-rankKruskal–Wallis

第1問:結果変数の型#

主な比較
二値有無、陽陰割合・事象確率
連続血圧、体重平均、位置、分布
順序病期、疼痛尺度順位・分布位置

0、1、2と符号化してもカテゴリーが連続値になるわけではありません。また正規性検定が有意というだけで自動的にノンパラメトリック法へ切り替えません。

第2問:標本間の関係#

関係判断
一標本一群と基準値中央値が4か
独立異なる対象が別群治療群と対照群
対応同じ対象の反復・マッチ治療前後

第3問:H₀は何を比較するか#

方法主な帰無仮説
t / ANOVA指定平均が等しい
Sign正負確率が各1/2
Signed-rank差分布が0中心で対称
Rank-sum独立二群分布が同じ
Median合併中央値両側の割合が同じ
Kruskal–Wallis全独立群分布が同じ
χ² independence二カテゴリー変数が独立

同じ「二群比較」でも検定する命題は異なります。順位検定を中央値比較と呼べるのは、分布形が類似し位置だけがずれる等の追加条件がある場合です。

表を使った後の確認#

  1. 図で外れ値、歪み、分散、クラスターを見る
  2. 研究課題とH₀を書き、方法が同じ問いに答えるか確認
  3. 独立性、対応、期待度数、対称性、等分散、tiesを確認
  4. 小標本では正確・置換・近似法と補正を明記
  5. 効果量と信頼区間を報告し、p値だけに縮減しない