生物統計学 学習ノート概念・導出から実践的な解釈まで

CHAPTER 08 · TOPIC 03

Kruskal–Wallis検定

独立三群以上の合併順位と平均順位から、分布の群差をカイ二乗近似で検定します。

このページの内容
  1. 研究デザインと仮説
  2. 全データを合併して順位付けする
  3. Kruskal–Wallis統計量
  4. カイ二乗近似と自由度
  5. 同順位補正
  6. 有意後の事後比較

Kruskal–Wallis検定は独立した三群以上を比較する順位法で、一元配置ANOVAの順位版です。全観測を合併順位付けし、群平均順位が共通中心からどれだけ離れるかを測ります。

研究デザインと仮説#

  • 結果が少なくとも順序付け可能
  • 群間の観測が独立し各観測は一群だけに属する
  • 反復測定には使わない
  • 中央値差として解釈するなら群分布形状が概ね同じ
H0:F1=F2==FkH1:少なくとも一群の分布が異なるH_0:F_1=F_2=\cdots=F_k\qquad H_1:\text{少なくとも一群の分布が異なる}

全データを合併して順位付けする#

総標本数N=i=1kniN=\sum_{i=1}^{k}n_i
第i群の順位和Ri=j=1niRijR_i=\sum_{j=1}^{n_i}R_{ij}
平均順位Rˉi=Rini\bar R_i=\frac{R_i}{n_i}

同値は占める順位の平均を使います。全順位の合計はN(N+1)/2、中心は(N+1)/2なので、H₀なら各群平均順位はこの周辺にあります。

順位総和1+2++N=N(N+1)21+2+\cdots+N=\frac{N(N+1)}2
共通中心Rˉ=N+12\bar R_{\cdot}=\frac{N+1}{2}

Kruskal–Wallis統計量#

平均順位表示H=12N(N+1)ini(RˉiN+12)2H=\frac{12}{N(N+1)}\sum_i n_i\left(\bar R_i-\frac{N+1}{2}\right)^2
順位和表示H=12N(N+1)iRi2ni3(N+1)H=\frac{12}{N(N+1)}\sum_i\frac{R_i^2}{n_i}-3(N+1)

カイ二乗近似と自由度#

Hχk12H\overset{\cdot}{\sim}\chi^2_{k-1}

k群の順位和の総計は固定されるため自由に変化できるのはk−1個です。小標本や極端な不均衡では正確法・置換法を検討します。「各群約5」は近似の目安で、分割表の期待セル度数5とは別条件です。

同順位補正#

補正因子C=1j(tj3tj)N3NC=1-\frac{\sum_j(t_j^3-t_j)}{N^3-N}
補正HHcorrected=HCH_{\mathrm{corrected}}=\frac HC

有意後の事後比較#

全体検定の有意性は少なくとも一群が異なることだけを示します。Dunn検定や計画対比を行い、Holm・Bonferroni等で多重性を調整します。

  1. 全体Kruskal–Wallisを実施
  2. 有意ならDunnまたは計画順位対比
  3. 多重比較を調整
  4. 各群n、中央値、IQR、平均順位、H、df、p値、効果量を報告
項目One-way ANOVAKruskal–Wallis
入力原値合併順位
比較平均平均順位/分布
統計量FH
近似分布Fχ²(k−1)
事後Tukey等Dunn等