CHAPTER 08 · TOPIC 01
Wilcoxon検定
符号検定、独立二群の順位和検定、対応データの符号付順位検定を区別して学びます。
このページの内容
Wilcoxon系の順位検定は、原値の正規分布を仮定せず、符号または順位を使って位置の差を調べます。本頁では符号検定、独立二群のWilcoxon順位和(Mann–Whitney U)、一標本・対応データのWilcoxon符号付順位検定を区別します。
| 方法 | デザイン | 使う情報 |
| Sign test | 一標本または対応 | 差の正負のみ |
| Rank-sum / Mann–Whitney | 独立二群 | 全観測の順位 |
| Signed-rank | 一標本または対応 | 差の絶対値順位と符号 |
符号検定:数値を正負へ変換する#
一標本差
対応差
符号
0差を除いた有効標本数をn、正差数をCとします。H₀では正負が等確率なのでCは二項分布に従います。
両側仮説
帰無分布
平均と分散
符号検定のp値と近似#
正確両側p値は、観察された偏りと同程度以上に極端な二項確率を両側で合計します。たとえばn=10、C=8なら次式です。
大標本Z
両側棄却域
順位和検定:独立二群を一緒に順位付けする#
- 二群のN=n+m観測を合併
- 小さい順に1~Nを付け、同値は平均順位
- 一方の群の順位を合計してWₛを得る
- 群ラベル交換で同程度以上に極端な順位和の確率を求める
H₀では群ラベルが交換可能です。N順位からn個を第1群へ割り当てる全C(N,n)配置が等確率で、順位和wとなる配置数を数えれば正確分布が得られます。
順位和の平均、分散、正規近似#
帰無期待値
同順位なしの分散
正規近似
順位和の期待値と分散の由来#
各順位は全配置中C(N−1,n−1)回選ばれるため、選択割合n/Nと全順位和N(N+1)/2から期待値が得られます。
期待値
順位級数
分散の結論
符号付順位検定:方向と距離順位を使う#
- 差Dᵢを計算し0差を除く
- |Dᵢ|を小さい順に順位付けし同値は平均順位
- 元の符号を順位へ戻す
- 正順位和T⁺と負順位和T⁻を計算
- 正確符号配置または補正済み正規近似でp値を求める
正順位和
負順位和
固定総和
H₀では差分布が0を中心に対称で、各絶対順位が正または負になる確率は1/2です。n個の符号には2ⁿ通りの等確率配置があります。
符号付順位和の平均、分散、近似#
期待値
同順位なしの分散
正規近似
指標Iᵣを順位rが正なら1、負なら0とすればT⁺=ΣrIᵣです。E(Iᵣ)=1/2、Var(Iᵣ)=1/4から線形性により上の式が得られます。
指標表現
符号付き順位和
Wの分散
三方法の選択#
| 方法 | 標本関係 | 主なH₀ | 追加条件 |
| Sign | 一標本/対応 | 正負確率が1/2 | 差の対称性不要 |
| Rank-sum | 独立二群 | 二群分布が同じ | 中央値解釈には形状類似 |
| Signed-rank | 一標本/対応 | 差分布が0中心 | 差分布の対称性 |