CHAPTER 03 · TOPIC 02
スクリーニング検査とROC曲線
2×2表、感度、特異度、予測値、ROC曲線、AUCと臨床目的に応じた閾値選択を学びます。
スクリーニング検査は、検査結果によって対象者を一時的に疾患の可能性が高い群と低い群へ分けます。ROC曲線は、異なる判定閾値における検査性能を一つの図に示します。まず2×2表、感度、特異度を理解することで、ROC曲線上の各点を解釈できます。
検査結果の2×2表#
| 検査結果/疾患状態 | 疾患あり(Disease +) | 疾患なし(Disease −) |
| 検査陽性(Test +) | 真陽性 TP | 偽陽性 FP |
| 検査陰性(Test −) | 偽陰性 FN | 真陰性 TN |
| 略語 | 英語 | 意味 |
| TP | True Positive | 疾患があり検査陽性 |
| FP | False Positive | 疾患はないが検査陽性 |
| FN | False Negative | 疾患があるが検査陰性 |
| TN | True Negative | 疾患がなく検査陰性 |
感度と特異度#
感度は真に疾患がある人のうち検査で見つけられた割合、特異度は真に疾患がない人のうち正しく除外できた割合です。分母が異なるため、どの集団内で計算しているかを先に確認します。
感度/真陽性率
特異度/真陰性率
偽陽性率
偽陰性率
陽性的中率と陰性的中率#
臨床では検査結果から逆向きに、陽性者が実際に疾患をもつ割合、陰性者が実際に疾患をもたない割合も問います。これが陽性的中率と陰性的中率です。両者は有病率の影響を受けるため、一研究のPPV・NPVをすべての集団へそのまま適用できません。
陽性的中率
陰性的中率
なぜ閾値が必要か?#
血圧、血糖、腫瘍マーカー、予測スコアなどの連続値を陽性・陰性へ変換するには、閾値(threshold/cutoff)を定める必要があります。
ROC曲線はどう作るか?#
複数の閾値を順に試し、それぞれの感度と特異度を計算します。横軸を偽陽性率1−specificity、縦軸を感度として各座標を結ぶとROC曲線になります。
| 位置 | 意味 |
| 左下 (0,0) | ほぼ全員を陰性:偽陽性は少ないが症例も見つからない |
| 右上 (1,1) | ほぼ全員を陽性:症例は見つかるが偽陽性が多い |
| 左上 (0,1) | 感度1、偽陽性率0の理想的分類 |
| 対角線付近 | 識別能が無作為分類に近い |
AUCは何を表すか?#
AUCはROC曲線下面積で、疾患ありと疾患なしを区別する能力を要約します。1に近いほど識別能が高く、約0.5なら順位付け能力は無作為に近いことを示します。
閾値をどう選ぶか?#
感度と特異度を同程度に重視するなら、左上に最も近い点またはYouden index最大の点を検討できます。ただし見逃しと偽陽性の損失が異なる場合は臨床目的を優先します。
| 記号 | 意味 |
| TP、FP、FN、TN | 真陽性、偽陽性、偽陰性、真陰性 |
| TPR | 真陽性率=感度 |
| FPR | 偽陽性率=1−特異度 |
| PPV、NPV | 陽性的中率、陰性的中率 |
| threshold/cutoff | 連続値を陽性・陰性へ分ける境界 |
| AUC | ROC曲線下面積。全体の識別能 |