生物統計学 学習ノート概念・導出から実践的な解釈まで

CHAPTER 02 · TOPIC 01

確率変数と確率密度関数

試行結果を数値へ変換する確率変数と、離散型・連続型の確率を記述するPMF、PDF、CDFを学びます。

このページの内容
  1. 確率変数とは何か?
  2. なぜ確率変数が必要なのか?
  3. コイン投げの例
  4. 統計量も確率変数になり得る
  5. 離散型確率変数と連続型確率変数
  6. 確率質量関数:離散型
  7. 確率密度関数:連続型
  8. 確率密度と確率の違い
  9. なぜ密度は1を超えてよいのか?
  10. 累積分布関数
  11. 代表的な確率分布

確率モデルは、ランダムな現象からどのような結果が生じ得るか、また各結果がどの程度の確率で起こるかを記述します。これらを数学的に扱うため、確率変数を使って試行の結果を数値へ変換します。

確率変数とは何か?#

確率変数(random variable)は、無作為試行の各結果を数値へ対応させる関数です。試行前には結果が確定していないため、確率変数が最終的にどの値をとるかにも不確実性があります。

なぜ確率変数が必要なのか?#

現実のランダムな結果は、出来事、状態、文章による説明などであり、そのままでは計算できない場合があります。確率変数は、関心のある特徴を選び、記号で表し、各結果を数値へ対応させる規則を定めます。この変換によって確率分布を構成し、平均、分散、その他の統計量を計算できるようになります。

  1. 不確実性をもつ現象を観察する。
  2. その中から本当に関心のある特徴を選ぶ。
  3. その特徴をXなどの記号で表す。
  4. 各結果を数値へ対応させる規則を定義する。
  5. 得られた値と確率から分布を作り、計算を行う。

コイン投げの例#

コインを2回続けて投げると、表表、表裏、裏表、裏裏の4結果が考えられます。Xを表の出た回数と定義すれば、それぞれ2、1、1、0に対応します。

X{0,1,2}X\in\{0,1,2\}
記号意味
X表の出た回数を表す確率変数
0、1、2Xがとり得る値。可能値または実現値

統計量も確率変数になり得る#

標本平均やt、χ²、Fなどの統計量は、標本データから計算されます。標本抽出前には標本が確定しておらず、統計量も抽出された標本によって変わるため、確率変数として扱えます。

離散型確率変数と連続型確率変数#

可能値を一つずつ列挙できるかによって、確率変数は離散型と連続型に分かれます。この違いにより、確率を記述する関数も異なります。

種類特徴記述方法
離散型可能値を列挙できる成功回数、症例数、入院回数確率質量関数(PMF)
連続型範囲内で任意の細かさの値をとれる身長、体重、血圧、生存時間確率密度関数(PDF)

確率質量関数:離散型#

離散型確率変数には確率質量関数(probability mass function, PMF)を使います。これはXが特定の値xをとる確率を直接表します。

特定の値をとる確率p(x)=P(X=x)p(x)=P(X=x)
全可能値の確率の合計xp(x)=1\sum_x p(x)=1
記号意味
X離散型確率変数
xXの一つの可能値
p(x)Xがxをとる確率
P(X=x)「Xがxに等しい」という事象の確率
ΣXの全可能値について確率を合計する

確率密度関数:連続型#

連続型確率変数には確率密度関数(probability density function, PDF)を使います。ある点での曲線の高さは確率密度であり、その点自体の確率ではありません。区間の確率は密度曲線下の面積です。

確率密度と確率の違い#

確率密度は、確率変数の可能値が各位置の周辺にどれほど集中しているかを表す関数です。ある位置での関数の高さが密度であり、一定範囲の密度を積分して得られる曲線下の面積が、その区間の確率です。

なぜ密度は1を超えてよいのか?#

確率は必ず0から1の間ですが、確率密度の高さは1を超えることがあります。密度曲線下の総面積が1なら、正しい確率密度関数です。

たとえばXが0から0.5の間で一様に分布するとします。幅は0.5しかないため密度の高さを2にでき、それでも総面積は0.5×2=1です。

均勻分布的機率密度示意圖:密度高度為 2、區間寬度為 0.5,曲線下的矩形面積為 1
密度高度為 2 並不代表機率大於 1;真正的機率是曲線下的面積,此處為 2 × 0.5 = 1。出典:本站製作
密度関数f(x)=2,0x0.5f(x)=2,\quad 0\le x\le 0.5
全範囲の確率P(0X0.5)=00.52dx=1P(0\le X\le 0.5)=\int_0^{0.5}2\,dx=1
一部分の確率P(0X0.1)=00.12dx=0.2P(0\le X\le 0.1)=\int_0^{0.1}2\,dx=0.2
記号意味
f(x)=2この範囲の確率密度の高さ。1点の確率ではない
0.5、0.1計算する区間の幅
指定区間の密度を曲線下の面積として積算する
1、0.2積分で得られた区間確率
1点の確率P(X=x)=0P(X=x)=0
区間確率P(aXb)=abf(x)dxP(a\le X\le b)=\int_a^b f(x)\,dx
密度曲線下の総面積f(x)dx=1\int_{-\infty}^{\infty}f(x)\,dx=1
記号意味
f(x)x付近の確率密度。関数値自体は1点の確率ではない
a、b確率を求める区間の下限と上限
指定区間における密度曲線下の面積
−∞、∞Xの全可能値を含む範囲

累積分布関数#

累積分布関数(cumulative distribution function, CDF)は離散型と連続型の両方に使え、xまでに累積した確率を表します。

共通の定義F(x)=P(Xx)F(x)=P(X\le x)
連続型での表現F(x)=xf(u)duF(x)=\int_{-\infty}^{x}f(u)\,du
記号意味
F(x)Xがx以下である累積確率
f(u)連続型確率変数の確率密度関数
u積分上限xとの混同を避ける積分用の変数

代表的な確率分布#

確率変数の種類代表的な分布
離散型二項分布(binomial)、ポアソン分布(Poisson)、超幾何分布(hypergeometric)
連続型正規分布(normal)、一様分布(uniform)、指数分布(exponential)