CHAPTER 02 · TOPIC 07
指数分布
一定発生率の下での待ち時間、無記憶性、生存関数、ポアソン過程との関係を学びます。
指数分布(exponential distribution)は連続型確率分布で、事象が一定の平均発生率で互いに独立して起こるとき、次の事象までの待ち時間を記述します。
どのような場合に使うか?#
次の電話や顧客の到着までの時間、一定の故障率を仮定した装置の故障時間などに使います。データが待ち時間であるだけでなく、平均発生率がおおむね一定で、異なる時間区間の事象を独立とみなせるかも確認します。
指数分布の定義#
確率変数Xを次の事象までの待ち時間、平均発生率をλとすると、Xは母数λの指数分布に従います。
| 記号 | 意味 |
| X | 次の事象までの待ち時間 |
| x | Xの可能値 |
| λ | 単位時間あたりの平均発生率 |
| f(x) | x付近の待ち時間の確率密度 |
| e | 自然対数の底 |
λは曲線をどう変えるか?#
密度はx=0でf(0)=λとなり、その後は待ち時間とともに低下します。λが大きいほど事象が頻繁に起こり、曲線は高い位置から急速に低下して、典型的な待ち時間も短くなります。
密度から確率を求める#
連続型分布なので一点の確率は0です。一定時間内に起こる確率や、その時間を超えても起こらない確率は曲線下の面積で計算します。
| 記号 | 意味 |
| f(x) | 位置xでの確率密度 |
| F(x) | 待ち時間がx以下となる累積確率 |
| S(x) | xを超えても事象が起こらない確率 |
| a、b | 0≤a<bである区間の端点 |
平均待ち時間と変動#
発生率と平均待ち時間は互いに逆数です。λが大きいほど待ち時間の平均と変動は小さくなります。
無記憶性#
指数分布には無記憶性があります。すでにs時間待っても事象が起きていないという条件下で、さらにt時間を超えて待つ確率は、最初からt時間を超えて待つ確率と同じです。
補足:短い時間区間から指数分布を導く
長さxの時間をn個の短い区間Δt=x/nへ分けます。一定の発生率λなら、各区間で事象が起こらない確率は約1−λx/nです。
この極限はまず生存関数を与えます。1から引けば累積分布関数、xで微分すれば確率密度関数が得られます。
補足:平均待ち時間が1/λとなる理由
非負確率変数の期待値は生存関数下の面積で表せます。S(x)=e^(−λx)を積分すると1/λになります。
ポアソン過程との関係#
時間t内の発生回数N(t)が平均λtのポアソン分布に従うなら、最初の事象までの時間Xは母数λの指数分布に従います。tを超えて待つことは、時間t内に事象が一度も起こらないことと同じです。
生存時間解析との関係#
生存時間解析では、指数分布はハザード率を一定のλとしたモデルです。ハザード率は時点xまで生存したという条件下で、直後の短い時間に事象が起こる瞬間的な率を表します。