生物統計学 学習ノート概念・導出から実践的な解釈まで

CHAPTER 07 · TOPIC 04

Spearmanの順位相関

順位に基づいて単調関連を測り、同順位、正確検定、Pearson相関との違いを学びます。

このページの内容
  1. Spearman相関を検討する場面
  2. 第1段階:原値を順位へ変換する
  3. 第2段階:順位のPearson相関を求める
  4. 同順位がない場合の簡略式
  5. 方向と大きさの判読
  6. 母順位相関の推論
  7. Spearman rₛへFisher Zを直接使えるか

Spearmanの順位相関係数rₛは、原値を順位へ変換してからPearson相関を計算し、二変数の単調な関連を評価します。直線でなくても一方向に増減する関係を捉えられます。

Spearman相関を検討する場面#

  • 順序尺度データを扱う
  • 関係は単調だが直線ではない
  • 外れ値でPearson rが強く影響される
  • 分布が強く歪み、順位に基づく要約が適切
  • 間隔の大きさより順序そのものに関心がある

第1段階:原値を順位へ変換する#

XとYを別々に小さい順へ並べて1~nの順位を与えます。同値(tie)は占める順位の平均を与えます。順位変換により間隔情報は捨てられ、順序だけが残ります。

第2段階:順位のPearson相関を求める#

rs=[R(Xi)RX][R(Yi)RY][R(Xi)RX]2[R(Yi)RY]2r_s=\frac{\sum[R(X_i)-\overline{R_X}][R(Y_i)-\overline{R_Y}]}{\sqrt{\sum[R(X_i)-\overline{R_X}]^2}\sqrt{\sum[R(Y_i)-\overline{R_Y}]^2}}

rₛ=1なら順位が完全に一致、−1なら完全に逆順、0付近なら単調な順位関係が弱いことを示します。

同順位がない場合の簡略式#

順位差di=R(Xi)R(Yi)d_i=R(X_i)-R(Y_i)
簡略式rs=16di2n(n21)r_s=1-\frac{6\sum d_i^2}{n(n^2-1)}

方向と大きさの判読#

符号は単調関係の方向、絶対値は順位の整合性を表します。強弱の固定的な境界は分野や測定信頼性に依存するため、散布図、信頼区間、研究文脈と合わせます。

母順位相関の推論#

H0:ρs=0H1:ρs0H_0:\rho_s=0\qquad H_1:\rho_s\ne0

小標本では順位の置換分布に基づく正確検定、同順位や大標本では適切な近似・置換・bootstrapを使えます。片側か両側かは事前に決めます。

Spearman rₛへFisher Zを直接使えるか#

Pearson r用の分散1/(n−3)をSpearman rₛへそのまま使うのは一般に厳密ではありません。標本分布と同順位の影響が異なるため、Spearman専用近似、置換法、bootstrap信頼区間を利用します。

項目Pearson rSpearman rₛ
対象原値順位
関係線形単調
外れ値影響を受けやすい通常は影響が小さい
推論t検定・Fisher Z正確・置換・順位用近似・bootstrap