CHAPTER 04 · TOPIC 02
t検定の概念
母標準偏差が未知の場合にt分布が必要となる理由と、三種類のt検定の共通構造を学びます。
t検定は母平均または平均差を検定します。Z検定と同じく、観察した差をその標準誤差で標準化します。本質的な違いは式の形ではなく、母標準偏差σが既知かどうかです。
Z検定から出発する#
個々の観測値のZスコアは母平均から母標準偏差何個分離れているかを示します。標本平均では標準誤差σ/√nを使います。
個々の観測値のZスコア
標本平均の中心
標本平均の標準誤差
平均のZ統計量
実際には母標準偏差σが通常未知#
完全な母集団を観察できないため、μだけでなくσも通常未知です。同じ標本から標本標準偏差sを計算してσを推定します。
標本分散
標本標準偏差
推定標準誤差
Z統計量からt統計量へ#
σは固定母数ですがsは確率変数です。正規母集団からの独立標本では、標準化平均Zと標本分散から作るカイ二乗変数Uが独立になります。
平均の標準化
標本分散によるカイ二乗変数
独立性
t分布の構成
1標本t統計量
自由度が必要な理由#
自由度が低いほどsの変動は大きく、t分布は裾へより多くの確率を置きます。自由度が増えるとsは安定し、標準正規分布へ近づきます。
Z検定とt検定の比較#
| 項目 | Z検定 | t検定 |
| 母標準偏差 | σ既知 | σ未知、sで推定 |
| 標準誤差 | σ/√n | s/√n |
| 参照分布 | N(0,1) | t分布 |
| 自由度 | 不要 | 必要 |
| 裾 | 薄い | 低自由度で厚い |
t検定は一種類ではない#
| 方法 | 問い | 分析する差 |
| 1標本t検定 | 母平均はμ₀に等しいか | X̄−μ₀ |
| 対応のあるt検定 | 対応差の母平均は0か | 各差dᵢを作りd̄を分析 |
| 独立2標本t検定 | 独立した二母平均は同じか | X̄₁−X̄₂ |
t検定の基本仮定#
- 無作為抽出または適切な無作為割付と、研究デザインに沿った独立性
- 平均と差を合理的に計算できる数量データ
- 1標本では観測値、対応ありでは差、独立2標本では各群とモデル誤差の分布を確認
- 小標本での強い歪みや外れ値に注意
- 独立2標本では等分散pooled tと、不等分散に対応するWelch tを区別