生物統計学 学習ノート概念・導出から実践的な解釈まで

CHAPTER 04 · TOPIC 06

母分散の推測

一母分散のカイ二乗検定、二母分散のF検定、pooled tとWelch tとの関係を学びます。

このページの内容
  1. 一母分散のカイ二乗検定
  2. カイ二乗統計量の構成
  3. 両側検定の棄却域
  4. 二母分散のF検定
  5. F検定が二つのカイ二乗変数から生じる理由
  6. pooled t、Welch tとの関係

母分散の推測は、データのばらつきが指定基準に等しいか、または二母集団の分散が等しいかを調べます。正規母集団では一母分散にカイ二乗分布、独立二母分散の比にF分布を使います。

一母分散のカイ二乗検定#

両側H0:σ2=σ02,H1:σ2σ02H_0:\sigma^2=\sigma_0^2,\qquad H_1:\sigma^2\ne\sigma_0^2
左側H0:σ2σ02,H1:σ2<σ02H_0:\sigma^2\geq\sigma_0^2,\qquad H_1:\sigma^2<\sigma_0^2
右側H0:σ2σ02,H1:σ2>σ02H_0:\sigma^2\leq\sigma_0^2,\qquad H_1:\sigma^2>\sigma_0^2

カイ二乗統計量の構成#

正規母集団の独立標本でμをX̄により推定すると自由度を一つ失い、標本分散の標準化は自由度n−1のカイ二乗分布に従います。

μ既知i=1n(Xiμ)2σ2χn2\frac{\sum_{i=1}^{n}(X_i-\mu)^2}{\sigma^2}\sim\chi_n^2
X̄でμを推定(n1)S2σ2χn12\frac{(n-1)S^2}{\sigma^2}\sim\chi_{n-1}^2
H₀下の観察統計量χobs2=(n1)S2σ02\chi_{\mathrm{obs}}^2=\frac{(n-1)S^2}{\sigma_0^2}

両側検定の棄却域#

χobs2<χα/2,n12orχobs2>χ1α/2,n12\chi_{\mathrm{obs}}^2<\chi_{\alpha/2,\,n-1}^2\quad\text{or}\quad\chi_{\mathrm{obs}}^2>\chi_{1-\alpha/2,\,n-1}^2

二母分散のF検定#

等分散仮説H0:σ12=σ22,H1:σ12σ22H_0:\sigma_1^2=\sigma_2^2,\qquad H_1:\sigma_1^2\ne\sigma_2^2
F統計量F=S12S22Fn11,n21F=\frac{S_1^2}{S_2^2}\sim F_{n_1-1,\,n_2-1}

分子と分母を交換するとFは1/Fとなり、二つの自由度も交換します。

F検定が二つのカイ二乗変数から生じる理由#

第1群U1=(n11)S12σ2χn112U_1=\frac{(n_1-1)S_1^2}{\sigma^2}\sim\chi_{n_1-1}^2
第2群U2=(n21)S22σ2χn212U_2=\frac{(n_2-1)S_2^2}{\sigma^2}\sim\chi_{n_2-1}^2
自由度で割った比U1/(n11)U2/(n21)=S12S22Fn11,n21\frac{U_1/(n_1-1)}{U_2/(n_2-1)}=\frac{S_1^2}{S_2^2}\sim F_{n_1-1,\,n_2-1}

pooled t、Welch tとの関係#

方法問い設定
一母分散χ²σ²=σ₀²か一つの正規母集団
二母分散Fσ₁²=σ₂²か独立した二正規母集団
Pooled tμ₁=μ₂か等分散を追加仮定
Welch tμ₁=μ₂か等分散を要求しない