生物統計学 学習ノート概念・導出から実践的な解釈まで

CHAPTER 05 · TOPIC 02

カイ二乗適合度検定

観察度数と指定された理論比率の期待度数を比較し、分布全体の適合性を評価します。

このページの内容
  1. 二項分布から多項分布へ
  2. データとモデルの条件
  3. 仮説
  4. Pearsonカイ二乗統計量
  5. 二カテゴリーの場合
  6. 自由度がk−1となる理由
  7. 独立性検定との違い
  8. 検定手順

カイ二乗適合度検定は、一つのカテゴリー変数の観察度数が、事前に指定した理論比率に適合するかを調べます。

二項分布から多項分布へ#

k個の排他的カテゴリーの確率をπ₁,…,πk、度数をO₁,…,Okとすると、度数ベクトルは多項分布に従います。

確率の合計i=1kπi=1\sum_{i=1}^{k}\pi_i=1
期待度数Ei=nπiE_i=n\pi_i
度数の合計i=1kOi=n\sum_{i=1}^{k}O_i=n

データとモデルの条件#

  • 各観察単位は一つのカテゴリーだけに入る
  • 観測値は独立
  • 理論比率は合計1
  • カイ二乗近似に十分な期待度数がある

仮説#

帰無仮説H0:π1=π10,,πk=πk0H_0:\pi_1=\pi_{10},\ldots,\pi_k=\pi_{k0}
対立仮説H1:at least one πiπi0H_1:\text{at least one }\pi_i\ne\pi_{i0}

Pearsonカイ二乗統計量#

統計量χ2=i=1k(OiEi)2Ei\chi^2=\sum_{i=1}^{k}\frac{(O_i-E_i)^2}{E_i}
自由度ν=k1m\nu=k-1-m

二カテゴリーの場合#

O₁=a、O₂=n−a、期待値npとn(1−p)を代入すると、一比率Z統計量の二乗と一致します。

二カテゴリーχ²χ2=(anp)2np(1p)\chi^2=\frac{(a-np)^2}{np(1-p)}
Zとの関係χ2=Z2\chi^2=Z^2

自由度がk−1となる理由#

総数nが固定されるため、k−1個の度数を決めると最後の一つは自動的に決まります。同じデータからm個の母数を推定した場合はさらにmを引きます。

独立性検定との違い#

方法変数数期待度数
適合度検定一つのカテゴリー変数事前指定した理論比率から計算
独立性検定二つのカテゴリー変数行・列の周辺比率から推定

検定手順#

  1. カテゴリーと理論比率を事前定義
  2. Eᵢ=nπᵢを計算し近似条件を確認
  3. Pearson χ²と自由度を計算
  4. 右裾p値から適合性を判断
  5. 有意なら各カテゴリーの残差も確認してずれの所在を解釈